第1日目サン・ジャン・ピエ・ド・ポー
ボルドーから電車で約3時間。途中乗り換えあり。
サン・ジャン・ピエ・ド・ポーはバスク地方の小さな町。
降りる乗客は、ほぼ全員バックパックを背負った
巡礼者。
着いたらまずは巡礼事務所に行き、
クレデンシャル(巡礼者手帳)を発行してもらう。
この時にパスポートの提示が必要。
今夜の宿まで、受付のおじさんが案内してくれる。
部屋には2段ベッドが並び、当然男女混合。
「今晩はぼくもこの部屋で寝るからね。安心だよ」
白ヒゲをたくわえた山男風のおじさんは見るからにいい人で、
この一言で本当に安心してしまった。
夕飯、および明日の昼食用のサンドイッチを買いに町へ出るが、おみやげ物屋ばかりでパン屋が見つからない。パニーニ屋で一番安いパニーニが4.5ユーロ(700円)高い。観光地値段だ。
今晩の宿が9ユーロ(朝食つき)なのに。。。
しかたなく部屋に帰ってパニーニを半分だけ食す。残りは明日…。
するとそこにサイクリングパンツの青年が登場。
3個パックのパン・オ・ショコラを差し出し「1個いる?」って勧めてくれる。
ありがたく頂戴する。
チョコパンをむさぼるダリア。
上半身裸でストレッチする青年。
青年は自転車巡礼者。
徒歩とはもちろんスピードが違うので、これが一期一会。
食堂に行き1人で地図を見ていると、
のっぽなフランス人のおじさんに声をかけられる。
「明日のルートはどうするんだい?」
次の町、ロンセルバイエスまでは2つのルートがある。
アップダウンの多い山道と、比較的なだらかな道路。
「山道は危ないから、道路にしようと思ってます」
「いや、道路は車が多くてもっと危ないよ」
・・・目からウロコ。すぐさま納得。
明日はこの人、フレデリックさんと、ヴェロニカさんというフランス人の女性と同行することになった。
中世の城砦の上に立てられた宿から、霧がかかったサン・ジャン・ピエ・ド・ポーの町を見下ろす。
意外と簡単に、するっとスタート地点に立てているのが妙な感じだ。
ボルドーから地続きで来たからか、現時点で、これから命がけの、壮大なる、とてつもない、大冒険に旅立つのよ!!って気分になれない。
時間をもてあまし、いつものようにぼんやりとタバコをふかしていた。