Merveille~フランスの風~

フランス風をぶいぶい吹かせてゆきます。

アートトランスレーター通訳特別講座@京都芸術センター

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場所は京都芸術センター。残暑厳しい中、京都まで行ってまいりました☆

通訳ガイドとして「旅」を仕事にする夢を叶えつつあるダリア、もういっこ夢があります。それは、「アート」に関わること・・・!!

なんせ去年の今頃は、アート好きすぎて新潟の大地の芸術祭で住み込みバイトしちゃいましたから。

www.merveillefrance.comしかし、昨年は語学と関係の無い、レストランでのバイト。

次はフランス語を使って仕事がしたい・・・!

思いつくのはやはり通訳・翻訳ですが、ふつうに得られる情報はもっぱら英語について。

美大にも外大にも縁が無いゆえに情報も人脈も無く、ぼーーーっと夢見てる感じでしたが、この講座のおかげで少し具体的に見えてきたものがありました。

そんなわけで、私の感想を軸に講座で得た知見をシェアします!

アートトランスレーター通訳特別講座に参加してみた

この講座は、ツイッター経由で知りました。

京都で10月5日から27日まで開催予定のKYOTO EXPERIMENT(京都国際舞台芸術祭)の関連プログラム。芸術祭は今年で開催10回目とか。

アート好きと言いつつ、そんな芸術祭があることすら知らなかったです、ごめんなさい。

講師は、アートに特化した通訳・翻訳団体「Art Translators Collective」主宰の田村かのこさん。

2日間の講座で、1日目はレクチャー、2日目には通訳の実践もあるという・・・。

募集時の参加資格がけっこうハードル高め(英語ですでに通訳として仕事してる、海外経験あり、など)で怖かったんですが、通訳案内士でいちおう英語も持ってるんだし、ええい!と申込みました。

1日目の講義が濃い!そしてめずらしく弱気になる

「通訳」と「翻訳」で求められるものの違いといった基本的な要素の説明から、アートトランスレーションとふつうの通訳との違い、アートに関わる上で注意すべき点など、かなりコアな話もあって、密度の濃い2時間でした。

アートを芸術と訳すか美術と訳すか、それともカタカナのアートにするか。

欧米の人が「フェミニズム」という言葉を使ったとき、それを日本語のカタカナのフェミニズムと訳すのが正解なのか、他の言葉にするべきか、それとも補足するのが良いか。

こんな話はいくらでも延々聞いていたい・・・。

特に印象に残ったのは、現代アートでは完成品の展示だけでなく製作過程が大切だったりするから、通訳は黒子でありつつも創作に関わる、関わらざるを得ない側面があるという話。

私のアート好き心を沸き立たせました(笑。

たとえば人間関係の不和で製作が破綻しちゃうのもアート表現なのでは、とか。

たしかに参加型の作品やワークショップで、参加者にわざと負荷をかける場面もあるだろうし、作家と参加者、参加者同士に衝突が生じたりするのも作品の一部なわけですよね。その仲介者として通訳がどう立ち回るか。

難しいけど、おもしろそう。

しかし、講義のラストで、「明日の実践編で実際に通訳してみたい人~」って言われた時、なぜか手を上げられなかった・・・。

人前で恥をかくのなんて平気なダリアですが、実は前日に団体バスツアーで姫路城を英語でガイドして、抜け殻でした(苦笑。

自分の英語力不足を痛感したばかりで、いや無理だと。

その「無理だ」という直感は正しかったのです、2日目に続く。

実践編:参加者の皆さんがレベル高すぎ。

2日目の実践編では、KYOTO EXPERIMENT(京都国際舞台芸術祭)の広報で次期プログラムディレクターであるジュリエットさんによる講演を、講座参加者5名が逐次通訳しました。

というか、なんで皆さん、できてしまうの?すごくない?

1人の持ち時間20分くらいでけっこう長かったのに。

いやー・・・・昨日、うっかり挙手しないでよかったぁ~・・・。って思いました。ほんと、英語で通訳は無理だわ。通訳ガイドはできても、通訳は無理だ、と。

通訳ガイドは、自分主体で話を進めていけるからなんとかなるけど、通訳は話者が主役で、そこに自分を合わせなきゃいけない。求められている語学力が全然違う。

だって、フレーズ丸ごと、「な、なん?今、なんの話?」みたいな。聞き取れてない部分がけっこうありました。

 

そして、この水準まで英語力を伸ばす努力するより、フランス語に注力すべきだな、とはっきり分かって良かったです。

 

ただ、私はフランスでアーツマネジメントの勉強をし、ナント美術館でインターンシップしたおかげで、アート周辺のボキャブラリーや文脈がわりと理解できてるんじゃないか、というポジティブな発見もありました。

 

手探りで、バランスをとりながら

講師の田村かのこさんのお話から感じたことをつらつらと。

講演では、体験談だけでなく、準備資料や通訳時にとったメモまで見せていただいて、リアルに通訳者のお仕事を垣間見ることができました。

「どんな通訳者を目指すのか、信頼できる通訳者って?」

私の頭の中でぼんやりしていた、そんな疑問に答えていただいたような気がしました。

田村かのこさん、謙虚で控えめでいながら、ここぞという時にははっきり主張する、かなり度胸がある女性だろうなぁと感じました。

また、企画者(自治体の担当者)や、アーティスト、参加者を俯瞰する通訳という立場の難しさ。

彼女はたぶんその場の誰よりも場数を踏んでいて、「こうすればうまくいくのに」とか、見えてしまうんだろうなぁ。

でも、仲介者としてその場をコントロールするのが良いわけでなく・・・

良かれと思って、どこまで「おせっかい」するか、そのへんのバランス感覚を、同じことは二度とない現場で手探りで見極めている。とても真摯な姿勢。

よっぽどアートが好きじゃなきゃ、こんなめんどくさいこと、やってらんないだろうなぁ(笑。

 

最後に、私がフランス語でアートトランスレーターになりたいと発言したら、「需要はありますよ」と励ましていただけました。

が、がんばります・・・!!

 

以上、知的な刺激に満ちた2日間の講座の感想でした。